難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究 厚生労働省難治性疾患政策研究事業

指定難病とは

指定難病とは

最終更新日:2016年12月10日

1.指定難病とは
平成27年1月1日から「難病の患者に対する医療等に関する法律」(いわゆる難病法)が施行され、難病対策が法律によって規定されるとともに、それまでの「特定疾患治療研究事業(医療費助成事業)」による医療費助成から一新されました。この法律では、難病とは「発病の機構が明らかでなく」「治療方法が確立していない」「希少な疾患であって」「長期の療養を必要とする」疾患、と定義されています。さらに、この4要件に加え「患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度、およそ12万人強)に達しないこと」「客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していること」の2要件を満たす疾患を「指定難病」とし、この指定難病を医療費助成の対象とする、と規定されました。2016年12月現在、306疾患が指定難病となっています。私たちの研究班が対象としている肝・胆道の疾患のうち、自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC;ただし2016年12月現在厚生労働省は「原発性胆汁性肝硬変」という旧称を使用しています)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、バッドキアリ症候群、特発性門脈圧亢進症の5疾患が指定難病となっています。
 

2.医療費助成の対象になるのは?
ただし、以上の5疾患の患者さんすべてが医療費助成を受けられるわけではありません。各疾患それぞれに「重症度分類」が定められており、原則としてこの重症度分類によって中等症・重症と診断された患者さんのみが医療費助成を受けられることになっています(表1)。軽症と診断された患者さんは、原則として医療費助成の対象にはなっていません。ただし、後で述べるように軽症の方でも医療費が高額の場合助成の対象となります。
 
 
表1.AIH、PBC、PSCの重症度分類(別ウィンドウで開きます)
 
3.「臨床調査個人票」と「難病指定医」
まず、お住まいの各自治体や保健所に問い合わせ、「臨床調査個人票」などの必要書類を手に入れてください。次に主治医に指定難病の申請について相談してください。申請には医師による「臨床調査個人票」の記入が必要ですが、この書類は「難病指定医」でないと記載できないことになっています。大学病院や大きな病院であれば、だいたいどこでも「難病指定医」がいます。
 
4.医療費助成の内容は?
まず、通常の医療保険の場合3割となっている自己負担割合が、2割となります。その上で、患者さんの世帯全体の所得(課税額)によって、自己負担額の上限が6段階に設定されています。つまり、難病の診療に対する医療費全体の2割か、あるいは自己負担額の上限か、どちらか低い方の金額を支払うということになります。
その上で、いくつか注意すべきことがあります。
(1)医療費は入院・外来を問わず、すべて合算できます。また、複数の医療機関を受診した場合、それぞれにかかった医療費すべてをやはり合算できます。さらに、同一世帯内に複数の指定難病患者がいる場合、自己負担額の上限が低くなります。
(2)「高額・長期」、つまり高額な医療が長期に継続する場合には自己負担上限額が低くなります。具体的には「医療費総額5万円以上の月が年6回以上」です。
(3)また、重症度分類で「軽症」であった方も、「軽症・高額」の制度により医療費助成の対象となります。これは、「医療費総額33,330円以上(=3割負担の場合月1万円以上)の月が年3回以上」あった場合が対象です。
 
5.特定疾患の経過措置
PBCとバッドキアリ症候群は特定疾患治療研究事業の対象疾患として医療費助成の対象となっており、またAIH、PSCなども都道府県によっては公費助成の対象となっていました。このような方は平成29年12月31日まで経過措置の対象として今までどおりの医療費助成を受けていますが、経過措置が終了すると上記の重症度分類によって医療費助成の対象となるかどうかが決まります。PBCの重症度分類は特定疾患のころと変わっていませんので助成対象に変化はありませんが、AIH、PSCの場合、新しい重症度分類が適用されると、軽症と判定されて助成対象とならない方が増える可能性があります。
 
6.ぜひ申請をお願いします
指定難病による医療費助成は重症度分類中等症・重症の方が対象となりますので、従来ともすると軽症の方ははじめから申請をしない傾向がありました。しかし、上で述べたように軽症の方でも医療費が高額であれば助成対象となる場合があります。また、この申請制度は、国がそれぞれの難病の患者さんの動向を把握するための貴重な資料でもあります。軽症の方が申請をしないと集積された資料に大きな偏りが生まれることにもなります。主治医と相談し、ぜひ申請をしていただくようお願いいたします。
 
6.指定難病制度についてもっと詳しく知りたい方は...
難病情報センターへのリンク(難病情報センターホームページへ飛びます)
厚生労働省へのリンク(厚生労働省ホームページへ飛びます)
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